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ただ読みダイアリー(62)

藤崎慎吾 「鯨の王」読了。



鯨の王


マリアナ諸島沖の海底火山近辺でアメリカ海軍の潜水艦が何者かの攻撃を受け、艦にダメージを受けずに乗組員が殺されるという奇妙な事件が発生。

また、小笠原沖で巨大鯨のものと思われる白骨体を発見した日本人鯨類研究者が持ち帰った骨のサンプルが盗まれる事件も・・・。

このふたつの事件をきっかけに体長50メートルを越える巨大鯨「ダイマッコウ」が人類の前に姿を現します。

その実体を追う偏屈で変わり者の鯨類学者、その鯨類学者を支援しながら商業的見地から「ダイマッコウ」の存在に関心を寄せるアメリカ製薬会社、仲間の仇をとるべく鯨を追うアメリカ海軍攻撃型原潜、「ダイマッコウ」の暮らす海域で海底探査を行う「ロレーヌクロス」という名の海底基地。それぞれが互いに絡み合いながら、「ダイマッコウ」との格闘を展開していきます。

「ダイマッコウ」という未知の生物の生物学的設定も緻密でリアリティーがあるし、深海の様子も科学的に詳細に描かれているし、「ダイマッコウ」と原潜の死闘や「ロレーヌクロス」からの脱出劇には迫力があって読み応えありで、なかなか骨太で且つ細部までよく描かれた長編ではあります。もはや人類の想像を超えた力と頭脳を持つ「鯨の王」の前に、闘うことをやめ、共存、相互理解の道を探ろうという作品の方向性にも大いに共感できます。

しかし・・・しかし・・・何か物足りなさを感じてしまうのです。

如何に科学的によくできた舞台設定であっても、私が読みたいのはその中で展開される「人と人のドラマ」なのです。舞台設定がとてもよくできているだけに、そこでのドラマがやや先が見えた力負けしたものに感じられてしまうのかもしれません。

この作品の登場人物に、それだけの深い思い入れを持ちうるキャラクターの立った者がいないというのもひとつの理由でしょう。鯨類学者と原潜の艦長がやや個性的ではありますが、それとて肯定的で強い感情移入ができるところまではいきません。おまけにやや無理やり物語に絡んでくるイスラム原理主義テロリストが、戦士とはいえない程度のチンピラ臭い中途半端な奴だったりしますし・・・。

潜水艦ものということで、福井晴敏の「終戦のローレライ」を連想してしまうのですが、そこでの濃密な人間ドラマと比べてしまうとちょっと気の毒ですね。この点は私が欲深く求めすぎなのでしょう。

まあ、巨大生物と深海の未知の世界を体験することができ、それなりにスリリングに楽しませてくれるという意味で、十分に及第点には達している作品ではあります。長いですが、読んで損はありません。まずまずお薦めです。

| ただ読みダイアリー | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | TOP↑

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