2008.11.12 Wed
ただ読みダイアリー(88)
浅田次郎 「シェエラザード」読了。


私の中には「困ったときの浅田次郎」という言葉があります。
図書館でこれといった本が見つからないとき、あれこれ探す時間がないとき、浅田先生の本が並んでいる書架に行って目に付いたのを一冊借りればそれで終わり、というわけです。
そのココロは・・・、多作のおかげで未読作がまだまだあること、そして何と言っても多作にも関わらす極めてハイアベレージであること、です。
本作は上下二巻にわたる長編でしたが、あっという間に読めてしまいました。でも中身はとてもぶっといです。
気に入った作品故、ネタばれ防止のため、内容には一切触れません。思うところだけ・・・。
戦争は常に何らかの大義を掲げて、否、そんな大義を隠れ蓑にして行われ、そして結局、掲げた大義にすら悖るものであることを露呈して終わるものです。「八紘一宇」然り(これを未だに認めないアナクロ野郎もいるようですが・・・)、「自由と民主主義」然り、「テロとの闘い」然り、「大量破壊兵器と独裁政権からの解放」然り・・・。
人間は戦争が如何なる大義をもってしても正当化しえない恥ずべき行為でしかないことに、いつになったら気づくのでしょう。
いや、おそらくとうに気づいているはずです。気づいているのは人間。戦争によって傷つけられ、死んでいく者たちであり、それこそが人間。戦争を遂行する者はもはや人間ではないといっても過言でないのかもしれません。
これまでの歴史に鑑みれば、戦争をせずに人間が生きていくのはとても難しいことでしょう。しかしそれをあきらめる人間には人間として生きていく資格はありません。いつまでも「Imagine」ではなく、そろそろ「Real」lにしていかなくてはいけないんじゃないでしょうか。
この国の「あ」のつく人や、先日世界の頂点に登りつめた「オ」のつくあの人が、そんな覚悟をどの程度もってくれているのでしょうね。
少なくとも「あ」のつく人には何ひとつ期待してはいけません。
この国のために何にどれだけのお金を使うべきかを考える自らの使命を放棄して、「勝手に使え!!」とばかりにばらまかれようとしている2兆円にのぼるあのお金。
高額所得者には程遠いので、辞退すべき謂われはありませんが、本心は「こんなもんいらんわい!お前ら、ちゃんと仕事せいや!」と言ってやりたいですね。
書評とはおよそかけ離れた話になってしまいましたが、この本についてはそれだけ「言うことなし!」ということだと解釈して下され。
もちろん激しくお薦めっす。
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